2008年01月31日

かばん屋 おまけ

このシリーズは、マニラ新聞掲載の小町広告欄でも、筆者了解のもとで連載していただいています。(ナヒヒヤ・アコ)

「金のブレスレット」に続きます。


 
 

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2008年01月30日

かばん屋 6

 語り終えた友人は一つ大きなため息をつき、つぶやきました。

「もう、これで終わりや」。

僕は「そんなあくどい女とは手を切るのが正解。だいたい枕二つ買ったというころからおかしいと思ってた。いい女はほかにいっぱいいる」と励ましました。

 友人と僕はしばらく無言で杯を傾けました。

彼は手にした携帯電話を名残惜しげにながめていましたが、「ええい」と叫び、吹っ切れたように顔を上げました。

「そうや、これでよかったんや。また一から出直すでえ」。

こう言った彼はグラスを持ち上げて僕のグラスにカチンと重ね、サンミゲルビールを一気に飲み干しました。

 彼の瞳は、青春真っ盛りの高校生のような輝きを取り戻していました。

新たな挑戦がまた始まるようです。

 
 

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2008年01月28日

かばん屋 5

 しばらくして友人はようやく落ち着きを取り戻した様子で、電話でのやり取りを語り始めました。


彼:君のことを愛してる。月々2万ペソ出すから愛人になってくれ。

彼女:(絶句、しばらくして)。私はゴーゴーガールじゃないわ。バカにしないで。

彼:じゃあ、いくらならいいんだ。

彼女:(無言、しばらくして)。車かコンドミを買って。

彼:そんな金はない。むちゃなことを言うな。

彼女:じゃあ、月5万ペソ。

彼:オレも生活があるからそんな出せない。2万5000がぎりぎりだ。

 プチッと電話は切れました。


 
 

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2008年01月26日

かばん屋 4

 飲み会の席でこの話を聞いた僕は怒りました。

「それではまるで詐欺。きちんと見返りを求めて、だめならもう縁を切った方がいい」。

友人は「ほんまやなあ。今のとこ、何もええことないもんなあ」とうなずきました。

 しばらく飲んでいると、彼は思い切ったように立ち上がりました。

「よし、決めた。今日こそは話をつけるぞ」。携帯電話を手にした彼は力強い足取りで表に出て行きました。

 10分くらい後、彼はがっくりうなだれて戻ってきました。

目には涙がにじんでいます。

「おい、どうした。どうなった」と声をかけても、彼は首を横に振るだけで言葉が出てきません。

一体、何が?


 
 

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2008年01月24日

かばん屋 3

 約1週間後、彼は彼女に連れられて○○モールへ行きました。

かばん屋がオープンしたというからです。

モールへ入ると、広い廊下の一角に確かにかばんをたくさん吊り下げた屋台風のものが存在していました。

ただ、かばんといっても布でできたものやポーチ類など見るからに安物ばかりです。

彼女のお母さんがニコニコしながら顔を見せました。

「あなたの援助のおかげです。本当にありがとう」。

しかし、しばらく見学していても一向にかばんが売れる気配はありません。

かわいそうに思った彼は、開店記念にと一つ買ってあげました。

オレはどこまで人がいいんやと我ながら情けなくなりました。

 一方、彼女との関係は一向に進展がありません。口づけを求めても「ここだけ」と頬を突き出される始末です。

話が違うやないかと彼はだんだんやけになってきました。


 
 

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2008年01月22日

かばん屋 2

 歌のノリと酔いの勢いがあったのでしょう。

彼は言いました。「分かった。君の家族のためになるのなら、僕はその金を出そう」

 この言葉を聞いた途端、彼女の表情は輝きました。

「本当?ありがとう」。彼女はは彼の両側の頬にキスを浴びせました。

彼はこの機会を利用して彼女の唇を奪おうとしましたが、微妙にはずされたことにこのときの彼は気づきませんでした。

 鉄は熱いうちに打て。このことわざに従って、翌日、彼は彼女に聞いた○トロバンクの口座に○万ペソを振り込みました。

その旨のメールを送るとすぐさま彼女から「本当にありがとう。あなたは本当に優しい人ね。大好き」という返答がきました。

よし、これであの女はオレのものだ。


 
 

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2008年01月21日

かばん屋

 「さっき言ってたお願いって何?」。

彼はこの問題に早く片をつけたかったので、彼女が席につくなり尋ねました。

彼女はいきなり聞かれたことに驚いた様子で少しためらっていましたが、思い切ったように言いました。

 「私はお父さんがいないでしょう。私がお店で働いてお母さんと弟を助けているけど、それだけだと弟を大学に行かせられない。

だからお母さんが仕事をしたいって。

SM○○モールでいいスペースが見つかったので、そこでかばんを売る仕事を。でも、店を開くお金が足りないの」

 彼にも話の筋は読めました。オレにその金を出せということだな。

彼女の母親の少し寂しげな顔と○○モールのにぎやかな風景が頭の中に浮かびました。

しぶしぶ彼は尋ねました。「それで、いくら必要なの?」

 待ってましたというように彼女は反応しました。「かばんの仕入れ代と店のスペースのレンタル料と併せると○万ペソなんだけど」。

彼女は上目遣いに彼の表情をうかがいました。

 提示された額は彼が予想した最悪の想定を少し下回るものでした。

頭の中をさまざまな思惑と計算、欲望が駆け巡ります。

店のカラオケでは誰かが大声で歌っています。

明日がある、明日がある、明日があーるーさー♪♪


 
 

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2008年01月19日

枕二つ 9

 この言葉を聞いた途端、彼の頭にビビッと警戒心が走りました。

こういう場面での「お願い」にはロクなことはない。

とても自然な反応です。それでも彼はグッと自分を抑え、優しい口調で「なに、お願いって?」と尋ねました。

「えーえ」とためらう彼女。ふと腕時計に目を落とすと、「あっ、大変。遅れてしまう」と彼の腕を引いて駆け出しました。

同伴の約束の時間は守らない彼女も、出勤時間の決まりはきっちり守るようです。

罰金制度が大きな効を奏していることは間違いありません。

 店に入り、彼女が着替えるのを待つ間、「ヘルプ」として席に着いた別の女の子がしきりと話しかけてきましたが、彼の耳にその言葉は入ってきません。

気になるのは「お願い」の中身だけです。

 しばらくして「お待たせしました」と彼女が席に戻ってきました。

芳醇な香水のかおりが鼻腔をやわらかく刺激しました。


 
 

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2008年01月17日

枕二つ 8

 「僕たち二人の関係のことだけど」と彼は切り出しました。

「もう付き合いも長いし、そろそろキスくらいしても」

本当はセック○と言うつもりだったのですが、なぜか口をついて出たのは別の言葉でした。

せっかく築き上げた「いい人」のイメージを瓦解させるのは得策ではないという機敏な配慮が働いたのかも知れません。

 彼女は少し戸惑った表情を見せましたが、すぐに笑顔に戻って恥ずかしそうにうなずきました。

その仕草を見た途端、彼は天に舞い上がる思いがしました。やったあ。やっぱり勇気を奮って勝負に出てよかった。

神様、仏様はオレを見放してなかったんや。

 彼はやさしく彼女の肩を抱き、近くの暗がりに連れていこうとしました。「あっ、ちょっと待って。こんな所ではだめ」と彼女は彼の腕を振りほどきました。

そして彼の顔を真剣な表情でのぞきこみ、言いました。

「私も一つお願いがあるの」


 
 

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2008年01月14日

枕二つ 7

 というわけで、友人は勝負に出ることにし、とりあえず彼女と同伴の約束をしました。

場所はMシネマスクエア近くの日本料理店。

律儀な日本人である彼は約束通りの午後7時に店に到着しましたが、彼女の姿は見えません。

あーあ、オレもいつまでこんなことやってるんやろ、とため息をつきながらビールをあおりました。

 30分後、彼女が到着。「ごめんなさい。渋滞で」。はあ?渋滞なんかしてなかったぞと思いながらも「僕も今来たばかり」と赤らんだ顔で答えました。

 食事はセブの思い出話で盛り上がり、肝心の話題を切り出せないまま、彼女の出勤時間が近づきました。

歩いて出勤先に向かう途中、彼の頭の中を友人たちの嘲笑がよぎりました。

今日こそは勝負に出んとあいつらに何を言われるかわからんぞ。

意を決した彼は「ちょっと話したいことがある」と声をかけました。

「なに?」とにこやかに振り向いた彼女の表情に営業用の笑顔がまじっていたことには、この時の彼は気付きませんでした。

 
 

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2008年01月12日

枕二つ 6

マニラに戻った友人は考えました。いつまでもだらだらと進展がないまま引きずっていてもしようがない。ここらできちんと勝負をかけないと。
 ある夜、親しい友人たちと飲みに行き、セブでこんな悲惨な目に逢ったという話を紹介ました。

友人たちは「それはひどい。あなたはもっと自己主張すべきですよ」と口をそろえて言いました。

うん、それもそうやなあ。ここらで一発、ガツンと言わしたらんと。

 携帯電話を手にした彼はピピッとダイアルを押しました。

しばらくの接続音の後、彼女が電話に出ました。

「この間はありがとう。セブでは楽しかった。

お母さんも喜んでいたわ」。優美な彼女の声に思わず彼は答えました。

「それは良かったね。お母さんによろしく。」

こう言って電話を切った彼の引きつる笑顔に友人たちは冷たい視線を浴びせたのです。

「分かった。次はちゃんと勝負するから」。彼の胸には一つの決意が宿っているようでした。


 
 

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2008年01月10日

枕二つ 5

 目覚め。

久しぶりに朝立ちがあった彼は、これは幸運の兆候ではないかなと思いながらベッドから這い出しました。

窓のカーテンを開けると、外は雨。ガビーン。なんでこんなt大切な日に限って…。

それでも気を取り直して服を着替え、レストランに行くと、彼女とお母さんはにこやかに朝食をとっています。

「あ、おはよう。今日は少し雨が降っているけど、濡れるのは同じだから後で泳ごうか」。

彼女は「えー」という表情で、「寒いから泳ぐのはいや。部屋でテレビを見てゆっくりするわ」

 午前中、しとしと雨は降り続き、彼女たちが部屋から出てくることはありませんでした。

仕方なく昼にチェックアウトを済ませ、雨に煙るセブ・マクタン空港へ。

車中の会話が途切れがちだったのは致し方ありません。

 期待にあふれた一泊二日の旅。

結局、何もいいことはありませんでした。

わずかな収穫は、彼女の母親に「彼はとてもいい人」と思われたことと、下心見え見えの旅にはロクなことはないという教訓でした。

(セブ編おわり)



 
 

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2008年01月07日

枕二つ 4

 自室に戻った彼はすばやくシャワーを浴び、バスローブを羽織ってテレビを見ながら彼女の来訪に備えました。

しかし、いつまで経ってもドアにノックの音は聞こえません。

待ちくたびれた彼は「恥ずかしがっているのかも。こちらから迎えに行ってあげたほうがいいのでは」と思い、部屋を出て、彼女たちが泊まっているコテージへ足を運びました。

 すると、コテージの明かりは消えて真っ暗ではありませんか。

ガァーン。

彼の目の前も真っ暗になりました。

涙がにじむ目で天を仰ぎましたが、曇っているようで、空には一つの星も見えません。

 傷心のうちに自室へ戻り、自棄酒をあおりました。

そのうち、ある考えが頭に浮かんできました。

そうか、明日はビーチで彼女のビキニ姿を初めて拝むことができる。

ビキニの彼女と戯れれば、それだけでもセブへ招待した甲斐があるというものではないか。

こう考え、気持ちを立て直した彼は胸と○○○を膨らませながら床につきました。

 
 

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2008年01月05日

枕二つ 3

 というわけで、友人はセブの高級リゾートホテルに部屋を2室予約しました。

あわよくば彼女と自分が一室で濃密な夜を過ごし、もう一部屋は彼女の母親用にということもあり得るのではと胸と○○○を膨らませました。

 夕方になって彼女と母親がホテルに到着し、友人とは別の部屋に二人でチェックイン(当たり前ですが)し、ホテルのレストランで夕食。

彼女の母親はそれまでにデートの付き添いに何度か来ていて会ったことがあったので話も弾み、部屋でもうちょっと飲もうということになりました。

彼女の部屋へ酒を持ち込みしばらく時を過ごしましたが、母親が眠そうな様子になり、そろそろお開きにという雰囲気になりました。

友人は、この機を逃してはいけないと思いながらも、母親がいる手前、彼女だけ自分の部屋へ来いというわけにもいかず、後で部屋へ来てねという思いを込めながら彼女に目配せしました。

彼女も「分かったわ」という感じで目配せを返してきたそうです。


 
 

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2008年01月03日

枕二つ 2

カラオケ小町

 その後、二人の間には何の関係の進展もないようで、僕が「あの枕、どうなった」と聞くと、友人は「そんなもん、知らん」とだんだん不機嫌になっていくので、僕も枕の話は話題に出さないようにしました。

 さて数カ月後、友人は仕事でセブへ出張に行くことになり、あることを思い出しました。

「彼女は北部の出身なのでセブへ一度も行ったことがなく、一度セブへ行ってみたいと言ってた」。

そこで友人は名案を思いついたのです。

仕事は日帰りでも済むところ、仕事が終わった翌日に休みを取って1泊2日の滞在にし、彼女を招いて夜から楽しく過ごそうという計画です。

 この名案にウキウキしながら彼女に打診したところ、「一人だと飛行機に乗れないので、お母さんと一緒なら行ってもいい」という回答。

友人は少しがっかりしましたが、お母さんが一緒に来たとしても、彼女と2人きりになれるチャンスはあるはずだし、念願のセブに招いてもらったのだから当然見返りは期待できると信じ、彼女とお母さんを招くことにしました。

 
 

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2008年01月01日

枕二つ

カラオケ小町

 僕の友人があるカラオケの可愛い子と仲良くなりました。

あるとき、彼女が休みの日にデートし、彼女が「買い物に行きたい」というのでSMへ一緒に買い物に行ったそうです。

何を買うのかと思ったら、彼女は寝具売り場へ行きました。

そこで、次々と枕に頭を乗せて感触を確かめたうえ、慎重に選び出した二つの枕を抱えてレジへ向かおうとしました。

友人が「どうして二つも買うの?」と聞くと、彼女は悪びれる様子もなく「私とお兄さんの分」と答えました。

彼女にお兄さんがいると聞いたことがなかった友人は少し不審に思いましたが、「ここでケチれば男がすたる」と判断し、一緒にレジへ行きました。

枕の代金を友人が払ったのは言うまでもありません。

 この話を聞いた僕は「枕を二つ買うなんておかしい。その女は別に男がいるのでは」と忠告しましたが、友人は「それならまさか堂々とオレの前で枕を二つ買うはずはない。

お兄さんの分とか言いながら、本当はオレのために買ったんやないかな」と彼女を信じきっていました。

 それから数カ月……


 
 

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可愛いフィリピーナと出会うなら